コロンビアは、コーヒーの収穫期が年に二度ある国である。
主たる収穫は10月から1月。そして春から初夏にかけて、もう一度、収穫の季節が巡る。
業界ではこれを“ミタカ”と呼ぶ。今は、ちょうどその時期にあたる。
この二度の収穫は、土地の気候によって生まれている。
コロンビアでは、雨の多い時期が年に二度訪れる。コーヒーの花は、その雨のリズムに応じて咲くが、地域や標高によってタイミングは少しずつずれていく。
そのため実の熟し方も揃わず、収穫は一度にまとまらない。いくつかの波に分かれて現れ、その中で大きなものがメインクロップ、小さなものがミタカと呼ばれている。
ミタカは、少し扱いの難しい収穫でもある。
実の熟し方にばらつきが出やすく、全体の揃いではメインクロップに及ばないこともある。そのため、コーヒーの品質を判断する基準は、今でもメインクロップに置かれることが多い。
一方で、この収穫には別の意味もある。
収穫の時期が分かれていることで、市場には新しいコーヒーが途切れずに入ってくる。ミタカは、その“もう一つの季節”として、年の途中に届くコーヒーでもある。
なお、「ミタカ」という言葉はスペイン語の “mitad”(半分)に由来する。
主収穫に対する、もう一つの収穫。その関係をそのまま表した呼び名だ。
今回のコーヒーは、その基準となるメインクロップで収穫されたもの。
エスペランサ農園のイエローブルボン、そのウォッシュト精製である。
イエローブルボンは、黄色く熟すコーヒーの品種で、味のバランスに優れている。
ウォッシュトという精製方法によって、雑味が抑えられ、すっきりとした仕上がりになる。
この一杯は、ハイロースト(中深煎り)で仕上げている。
口に含むと、まず感じるのは、こっくりとした質感。軽やかに抜けるのではなく、舌の上にほどよい重みを残しながら、ゆっくりと広がっていく。
そこに、カカオを思わせる甘さと苦味が重なる。どちらか一方が前に出るのではない。甘さの中に苦味が溶け込み、苦味の奥に甘さが残る。その重なりが、じわりと余韻を引いていく。
この豆が収穫されたのは、数ヶ月前のコロンビア。
そしていま現地では、次の収穫であるミタカが進んでいる。
同じ木から、時間をずらして実るコーヒー。
季節を分けて積み重なっていく、その流れの一端がこの一杯にある。
いま口にしている味は、すでに過ぎた季節のもの。
そしてその続きを、遠く離れた土地で、また別の実りが形にしていく。
そうした時間の重なりに思いを巡らせながら、このコーヒーを味わってみるのも悪くない。






