グァテマラには、鳥の羽根がお金だった時代があります。
その鳥の名は、ケツァール。
エメラルド色の羽と、体長の倍以上に伸びる尾羽を持つ、中米の鳥です。マヤの時代には、この長い尾羽が通貨として用いられ、神聖なものとして大切に扱われました。
やがて羽根そのものが流通することはなくなりましたが、名前は残りました。
いまのグァテマラの通貨単位は、この鳥にちなんで「ケツァル」と呼ばれています。
羽根がお金だった国の通貨が、今もその鳥の名で呼ばれているわけです。
ケツァールには、もうひとつ知られた話があります。
籠に入れると弱って死んでしまうため、捕らえられない自由の象徴とされてきたこと。
そのため国旗にも、国章にも、すべての紙幣にも、その姿が描かれています。
さて、コーヒー。
品種はブルボン、精製はナチュラル。果肉をつけたまま乾かすことで、果実の風味がそのまま豆に移ります。焙煎はハイロースト(中煎り)。
口に含むと、ベリーのような甘酸っぱさが広がります。
香りは華やかですが、それだけが上滑りせず、果実味が芯に残る。苦味はごく控えめで、わかりやすくフルーティな一杯と言えます。
ところで、通貨の名にもなったケツァールは、果実を主食とする鳥でもあります。その国から届いた、これまた果実味のコーヒー。
と、意味ありげに繋いでみましたが、鳥の食事とこの豆の味に、因果は何ひとつありません。
我ながら強引きわまりない結びですが、果実つながりということで、今回ばかりはどうかご容赦ください。






