六月に嫁ぐ花嫁は幸せになる、という言い伝えがある。ジューンブライドだ。
なぜ六月なのか。
じつのところ、Juneという月名の由来には諸説あって、はっきりとは分かっていない。
なかでもよく語られるのが、結婚を司るローマの女神ユノ(Juno)に由来する、という説である。
女神の見守る月に式を挙げれば、その加護にあずかれる。ジューンブライドは、そこから来たといわれている。
もっとも、これはヨーロッパの六月が一年で最も晴れやかな季節だからこその話。
日本ではちょうど梅雨と重なるのだから、女神もいささか間が悪い。
由来には、もうひとつ面白い説がある。ラテン語の iungo、「結びつける」から来たとするものだ。
こちらは女神とは関係がないが、採るとすれば、六月は「二つを一つにする月」ということになる。
結婚の女神にせよ、「結びつける」にせよ、どうやら六月は、何かと何かを結ぶ月であるらしい。
さて、今月の「ジューンブレンド」である。
名のとおり六月の豆だが、中身もまた、二つの豆を半分ずつ結んだ一杯になっている。
掛け合わせたのは、コロンビアとコスタリカ。
コロンビアは、ウォッシュトのキレのある一杯。澄んで、すっきりとした輪郭を持つ。
コスタリカは、ナチュラルの果実味。甘く華やかで、少し奔放な気性をしている。
精製も味の方向も違う二つを、ちょうど半分ずつ。気性の異なる者どうしの取り合わせ、というわけだ。
焙煎はシティ、中深煎り。とはいえ、その入り口あたりで火を止めている。
深煎りのような強い苦味はなく、コクはありながら、後味はすっきりと引く。
コスタリカの果実味が明るさを添え、コロンビアのキレが全体を引き締める。互いの角が、うまく収まっている。
六月の花嫁が幸せになれるかどうかは女神の管轄だが、この縁組みの相性のほうは、淹れてみれば、まず請け合える。






